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日外会誌. 115(6): 312-316, 2014


特集

わが国の小児外科五十年のあゆみ

3.Hirschsprung病の治療と研究のあゆみ

大阪府立母子保健総合医療センター 総長

福澤 正洋

I.内容要旨
Hirschsprung病(以下,H病)の病因は肛門側腸管の壁内神経細胞が先天的に欠如(aganglionosis)に起因し,病因に関しては1967年に岡本らの発表したcranio-caudal migration theoryが世界的に最も有名である.また,H病の原因遺伝子の一つとしてエンドセリンレセプター遺伝子,RET遺伝子の関与が明らかになっている.病態としては腸管壁内神経細胞欠如であり,S状結腸以下の短域無神経節症(short segment aganglionosis)が全体の約80%を占める.根治手術は,蠕動運動機能障害のある肛門側の無神経節腸管を切除し,口側の正常腸管を肛門にpull throughする術式が行われる.基本的根治手術としてSwenson法(1948年報告),Duhamel法(1960年報告),Soave法(1964年報告)が代表的な術式である.近年,腹腔鏡が広く普及し,各種の術式に腹腔鏡下手術が採用されている.通常の病型のH病は予後良好で,術後排便機能概ね良好である.一方,Treitz靭帯から70cmよりも口側におよぶものはまだ予後不良であり,排便機能,栄養管理で長期治療が必要である.

キーワード
Hirschsprung病, aganglionosis, pull-through, 腹腔鏡手術

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