[書誌情報] [全文HTML] [全文PDF] (354KB) [会員限定]

日外会誌. 115(5): 276-280, 2014


会員のための企画

周術期栄養管理の重要性

術後早期回復をめざす栄養療法

東京大学医学部附属病院 手術部

深柄 和彦 , 安原 洋

I.内容要旨
周術期の適切な栄養療法は,術後早期回復を促進し合併症発生を抑える.その第一歩は術前の栄養状態の評価であり,低栄養状態併存症例では,1~2週間の栄養療法の適応となる.術直前の経口補水投与の意義は,高炭水化物液の場合には術後耐糖能低下の改善・筋タンパク代謝の改善,電解質液の場合には脱水補正,と異なっている.術前術後を通して,栄養投与ルートとしては,感染防御能の維持・炎症反応制御の点からも経口・経腸が第一選択となるが,投与量不足が1週間以上続くことが予想される場合には補助的な静脈栄養を考慮する.免疫増強タイプの栄養製剤の周術期投与は,感染性合併症抑制・在院日数短縮に有効であるが,術後に重篤な敗血症を合併した場合には投与を差し控える.

キーワード
低栄養状態, ERAS, 免疫栄養, 経口補水, 経腸栄養


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。