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日外会誌. 115(4): 206-211, 2014


特集

胆道癌外科治療の現況

7.胆道癌に対する補助療法の現況

千葉大学大学院 医学研究院臓器制御外科学

加藤 厚 , 宮崎 勝

I.内容要旨
胆道癌は外科切除が唯一の根治的治療法であるが,早期診断が困難であるため進行癌の状態で発見されることも多く,根治切除が可能な症例が限られている.切除不能進行胆道癌症例に対する化学療法としてgemcitabineとcisplatinの併用療法がエビデンスに基づいた標準治療として施行されている.さらにgemcitabineやS-1などの化学療法剤を用いた他剤併用療法や分子標的薬の併用などの臨床研究が行われており,今後は,さらなる予後向上とQOLの向上を目指した有効な補助療法を確立するとともに,初回治療不応例に対する2次治療の検討などが重要と考えられる.また,薬剤耐性に関する基礎的·臨床的検討により個別化治療が進んでいくものと考えられる.手術施行症例に対しては再発防止のための術後補助化学療法の確立が望まれるとともに,切除率の向上および予後向上を目的とした切除不能局所進行胆道癌に対するdownsizing chemotherapyなど,術前化学(放射線)療法の適応拡大が考慮される.さらには化学療法の確立に加えて,外照射や腔内照射などの放射線療法や光線力学的治療(photodynamic therapy),ペプチドワクチンなどの免疫療法など,集学的治療による補助療法の確立により胆道癌のさらなる予後向上が期待される.

キーワード
胆道癌, 術後補助化学療法, downsizing chemotherapy, 放射線療法, 光線力学的治療

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