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日外会誌. 114(6): 340-344, 2013


症例報告

6歳未満小児脳死ドナーからの全肝移植の経験

1) 国立成育医療研究センター 臓器移植センター
2) 京都大学 肝胆膵·移植外科

浜野 郁美1) , 阪本 靖介1) , 福田 晃也1) , 内田 孟1) , 佐々木 健吾1) , 重田 孝信1) , 金澤 寛之1) , 中澤 温子1) , 笠原 群生1) , 小倉 靖弘2) , 上本 伸二2)

I.内容要旨
臓器移植法改正後,15歳未満の小児からの脳死下臓器提供が可能となったがいまだその数は少ない.今回,6歳未満の小児からの脳死下臓器提供による肝移植術を経験したので報告する.症例は9カ月 女児.胆道閉鎖症にて生体肝移植術を行ったが,血流障害によるグラフト機能不全となり,術後42日目に脳死肝移植登録を行った.術後49日目に6歳未満の脳死ドナーから臓器提供を受け,脳死肝移植術を施行した.術前画像評価にて肝臓や血管のサイズを確認し,手術器械やカニューレなどの携行品を選択した.また,再移植術時の血行再建術に備えて血管グラフトを十分に採取した.再移植術後の経過は良好で,再移植術後172日目に軽快退院し,現在外来通院中である.小児脳死ドナーの臓器摘出時には臓器の大きさや血管径のバリエーションを想定した周到な手術器具類の準備と,レシピエント状態を考慮したグラフト選択や血行再建法など入念な手術計画が重要である.

キーワード
小児脳死ドナー, 肝移植, 脳死肝移植

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