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日外会誌. 114(4): 211-213, 2013


特別寄稿

環太平洋戦略経済連携協定(Trans Pacific Partnership,TPP)の日本医療制度への影響

東北薬科大学病院 

田林 晄一 , 渡辺 卓

I.内容要旨
野田佳彦前首相が2011年11月10日にTPP交渉への参加を表明して以来,種々の分野から賛否両論の意見が述べられてきた.さらに2013年2月22日には安倍晋三総理大臣が米国のオバマ大統領と会談し,「全ての関税撤廃を前提としない」とする方針の基にTPP交渉への参加を考慮するという共同声明があり,具体化が近いことが予想される.TPPへの参加により種々の分野に影響があると推測されているが,医療制度に対する悪影響も発生する可能性は高く,日本医師会,日本歯科医師会,日本薬剤師会の3師会は合同でTPP参加への反対表明をしている.一方,経済界は産業構造,および今後のさらなる発展の観点から参加への賛同表明をしている.この様に世論を分断している状況にあることより,TPPの是非について種々の観点から分析するのは重要である.本文では先ず,TPPの全体像としてのメリット,デメリットを分析し,次に医療制度に対する影響について言及する.医療制度に対する影響に関してはこれまで一局面を捉えて述べられてきた経緯があり,全体的な検討は不十分と思われる.これに鑑み,全体の医療現状を長所と短所の面から捉え,それらに対するTPPの影響という視点から分析したので言及する.

キーワード
環太平洋戦略経済連携協定, 医療制度, 皆保険制度


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