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日外会誌. 114(3): 151-154, 2013


会員のための企画

小児から成人に至る外科―こどもからおとなへ―

直腸肛門奇形術後症例の成人期における手術

東海大学医学部 外科系小児外科学

上野 滋

I.内容要旨
直腸肛門奇形(以下鎖肛)患者の中には,小児期を過ぎても失禁や便秘で悩む例があり,粘膜脱,肛門狭窄,巨大結腸/直腸といった合併症がある.便失禁や汚染は社会生活に影響すると考えられるが,多くは障害を受け入れて不十分な排便機能に対処しながら社会生活を送っている.便失禁や重度の便秘といった排便機能障害に対する手術については,括約筋機構の構築を目的として手術が行われてきたが,すべてで満足のできる結果をもたらしていないことから,Malone法による順行性浣腸路を造設して社会的便禁制を保つという選択がなされている.神経因性膀胱や骨盤神経叢損傷により排尿障害のある患者では自己導尿や導管手術により社会的な尿禁制を得ている.思春期を過ぎると男性では勃起不全,射精障害,女性では,経血路障害,性交障害をきたす可能性があり,特に総排泄腔型患者では,子宮留血腫,腟瘢痕に対する追加手術がときに必要となる.成人期の鎖肛患者を支援するには,小児期からのケアの円滑な移行とともに,患者のニーズに沿う,小児外科医と各科医やコメディカルが協力した支援体制が求められ,その中で手術が選択され,患者の苦痛を和らげQOLが向上されることを望みたい.

キーワード
直腸肛門奇形, 成人期, 便失禁, antegrade continence enema(ACE), QOL


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