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日外会誌. 114(3): 128-131, 2013


特集

外科ライブ手術の意義とあり方について

2.ライブ手術の趨勢―その光と影そして理想とは―

京都府立医科大学大学院 医学研究科心臓血管外科学

夜久 均

I.内容要旨
ライブ手術は2007年に制定されたガイドラインに沿って行われている.ガイドラインでは,ライブ手術の選択を1(点)標準的に行われている症例を原則とし,心臓血管外科専門医基幹施設で院内の倫理委員会の承認の下で行う様に規定している.また術者が日常とできる限り近い環境で手術が行えるような配慮を謳っている.ライブ手術は教育ツールとして一つのオプションであり,経験豊富な術者の手術をその施設を訪れて見学するのと同等な教育効果を多数の参加者で享受できるという利点を持つ.その反面,術者が日常の環境ではなく100%実力を発揮できない可能性もあり,患者にとっては利益はない.理想的なライブの形というのは,患者へ不利益を与える危険性を最大限無くした状況で,より多くの教育効果を得るということに尽きる.ガイドラインはその一躍をになっていると考える.しかしながらルーチン手術のみがライブの対象になる状況では,そのコストと教育効果を考えるとおそらく将来的にはライブ手術は消えていくだろうと思われる.患者の安全性を担保した低コストで永続性のある教育効果の高いライブ手術を模索していく必要がある.

キーワード
心臓血管外科, ライブ手術, 教育効果, 医療安全, ガイドライン

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