[書誌情報] [全文HTML] [全文PDF] (539KB) [会員限定]

日外会誌. 114(2): 107-111, 2013


会員のための企画

大腸癌の多発肝転移に対する治療戦略

ラジオ波焼灼療法(RFA―10年間の成績と今後の展開―

1) 順天堂大学 消化器内科
2) 東京大学 消化器内科

椎名 秀一朗1) , 佐藤 隆久1) , 近藤 祐嗣2) , 浅岡 良成2) , 建石 良介2) , 小池 和彦2)

I.内容要旨
ラジオ波焼灼療法(RFA)は,肝細胞癌の治療として普及しているが,熱で腫瘍組織を壊死させるため,癌腫を問わず抗腫瘍効果が得られる.欧米では,RFAは転移性肝腫瘍,特に大腸癌肝転移に対して広く行われている.私たちは大腸癌肝転移192例にRFAを実施したが,生存率は1年,3年,5年,7年,10年が93.5%,63.7%,38.2%,29.9%,26.1%であった.5年生存は29例,10年生存は4例であった.多変量解析では,生存率に関与する因子はCEA値,病変数,病変径,肝外病変の有無であった.再発を早期に発見し低侵襲治療を繰返す治療戦略は,大腸癌肝転移でも有効と思われる.RFAは転移性肝腫瘍の治療の選択肢の1つに加えられるべきであろう.ただし,転移性肝腫瘍のRFAでは成績の施設間格差が大きいと考えられるため,きちんとした環境を整備し技術を習得してからRFAを実施すべきであろう.

キーワード
ラジオ波焼灼療法(RFA), 低侵襲治療, 大腸癌, 肝転移, 長期成績


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。