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日外会誌. 114(1): 66-70, 2013


症例報告

自施設における小児脳死分割肝移植6例の成績

国立成育医療研究センター 臓器移植センター

笠原 群生 , 濱野 郁美 , 内田 孟 , 重田 孝信 , 福田 晃也 , 金澤 寛之 , 小林 めぐみ , 北嶋 俊寛 , 田中 秀明 , 阪本 靖介

I.内容要旨
目的:2010年7月に脳死法案が改正され,脳死臓器移植は増加傾向にある.しかし脳死肝移植提供は全ての末期肝疾患患者の需要を満たすには至っていない.分割肝移植は肝臓を二つに分割し,二名のレシピエントに移植を行う術式である.自施設での分割肝移植6例の成績を検討し,文献的考察を含めて報告する.
対象と方法:国立成育医療センターにおいて2010年10月から2012年10月までに肝移植を行った217例中,分割肝移植6例について移植適応,手術成績について検討した.
結果:対象疾患は劇症肝炎3例,再移植1例,原発性硬化性胆管炎1例,胆道閉鎖症1例であった.レシピエント年齢は生後17日から15歳で,体重は2.4kgから55kgであった.分割移植片は縮小外側領域1例,外側領域3例,左葉1例,右葉1例であった.劇症肝炎の1例をVenoocclusive deseaseによる移植肝不全で生体再肝移植を要したが,6例全例生存中である.
結論:経過観察期間は短いが,分割肝移植は適応を選べば安全な医療であると考えられた.

キーワード
小児, 肝移植, 分割肝移植, 脳死肝移植


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