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日外会誌. 114(1): 34-37, 2013


特集

癌のリンパ節微小転移―外科治療からみた臨床意義―

8.甲状腺癌

1) 慶應義塾大学 医学部病理診断部
2) 伊藤病院 

亀山 香織1) , 高見 博2)

I.内容要旨
甲状腺癌,特に乳頭癌では所属リンパ節に微小転移が発見されることはまれではない.外科治療において,リンパ節郭清が予後を改善するかについては以前から議論があるところである.日本内分泌外科学会および日本甲状腺外科学会のガイドラインによると,気管周囲リンパ節についてはその郭清が予後を改善するという明らかな根拠はない.しかし再手術が行われた場合,合併症の頻度が増すことを考慮すると,初回手術で郭清を行ったほうがよいとしている.一方,内深頸リンパ節の予防的郭清は再発のリスクを下げるが,生命予後を向上させるかについては根拠が乏しいという.病理組織で確認可能な転移リンパ節の数は,本当に転移しているリンパ節の数よりも少なく,また,転移と鑑別すべき変化として異所性甲状腺という病変があることを知っておく必要がある.近年,穿刺吸引細胞診によるサイログロブリン測定やセンチネルリンパ節生検といった新しい技術が開発され,その有用性が報告されている.

キーワード
甲状腺, リンパ節転移, 乳頭癌, 吸引細胞診, センチネルリンパ節

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