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日外会誌. 113(6): 519-524, 2012


会員のための企画

肺がんを疑う末梢孤立性病変への対応

開胸生検の利点

大阪府立成人病センター 呼吸器外科

東山 聖彦 , 徳永 俊照 , 狩野 孝 , 藤原 綾子 , 石田 大輔 , 岡見 次郎

I.内容要旨
末梢孤立性肺病変の開胸生検は,肺がん診断,病期診断,標本採取などの目的で行われる.特に肺がんが疑われる(未確診)病変に対する生検は,本邦肺癌学会の診療ガイドラインでは推奨度グレードBレベルの重要な診断検査である.近年は胸腔鏡(VATS)を用いた生検術(VATS生検術)が一般的で開胸生検は稀だが,病変の局在や大きさなどにより(小)開胸を併用することは多い(開胸生検術).通常,病変を含む肺部分切除を行う切除生検が行われるが,肺腫瘤性病変を小開胸創から直接に穿刺細胞診する場合もある.肺病変に対する開胸生検(VATS生検も含む)は,診断精度は高く,引き続いて根治的治療(外科切除など)を行える利点がある.さらに十分量を採取した生検標本は様々な臨床検査に提出することも可能である.孤立性肺病変に対する生検術は低侵襲で安全に行われなくてはならないが,必要に応じて小開胸を併用して確実に診断を行い,次の治療戦略(根治的手術など)を組むことが重要である.

キーワード
末梢孤立性肺病変, 開胸生検術, 胸腔鏡下肺腫瘤生検術(VATS生検術), 肺がん


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