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日外会誌. 113(5): 446-450, 2012


特集

外科領域における再生医療の応用

7.神経再生技術を応用した新しい直腸癌手術

1) 同志社大学 生命医科学部
2) 京都府立医科大学 消化器外科
3) 京都府立医科大学 前学長

萩原 明於1) , 大辻 英吾2) , 山岸 久一3)

I.内容要旨
骨盤内神経などへ癌細胞の侵潤散布が及ぶ局所進行直腸癌では,癌の根治を重視して癌細胞に侵された神経を癌と共に切除すると,切除神経が支配する臓器(たとえば膀胱や性器)の機能が失われる.他方,臓器機能の温存を重視して神経を切除しないで残すと,手術後に癌が再発する可能性が高くなる.つまりこのような局所進行直腸癌では「癌の根治の追求」と「機能温存の追求」は両立が不可能で,従来の局所進行直腸癌の手術戦略はその何れか一方だけしか選択できないという二律背反が存在した.私たちはこの二律背反を解決し,「癌の根治もand臓器の機能も」の達成が可能な新しい手術戦略を目的に,癌の根治を重視して神経合併切除を行い,かつ臓器機能温存も追及して切除神経を再生医学の応用で再生する工夫を行った.神経再生の手段として,PGA織布のチューブの内腔をコラーゲンスポンジで満たした神経再生チューブを用い,動物実験で体性神経と自律神経の再生に成功した.臨床応用は,現在17名の腫瘍手術症例に実施し,17例中16例に切除神経の機能の回復が認められた.それらの内から本報では2例の症例を提示した.以上の結果から神経再生チューブは,第一に神経再生の有用性が動物実験と臨床応用で確認され,第二に癌の根治性と臓器機能(QOL)の両立という新しい直腸癌の手術戦略が示された.

キーワード
神経再生, 直腸癌手術, 臨床応用, 新しい手術戦略


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