[書誌情報] [全文HTML] [全文PDF] (649KB) [会員限定][検索結果へ戻る]

日外会誌. 113(5): 429-434, 2012


特集

外科領域における再生医療の応用

4.生体吸収性材料を用いた消化管欠損部の修復と再生―特に胆管欠損部の修復と再生について―

埼玉医科大学国際医療センター 消化器外科

宮澤 光男

I.内容要旨
消化器領域において,ある程度の大きさの臓器を再生させるためにはtissue engineering(TE)の技術を応用することが必要である.生体吸収性材料をscaffoldとし,そのscaffoldの周囲環境を,求める臓器の環境に整えることによりはじめて臓器を再生させることが可能である.体内で再生させたい臓器の環境を整えるためには,既存の臓器とscaffoldとを精巧な縫合操作により,ある一定期間固定することが必須であり,ここに外科的な要素が加わってくる.われわれは,TEの技術を応用し,胃,大腸,小腸,血管,等の部分的再生に成功しているが,筋肉量の多い蠕動運動が盛んな臓器の環状再生は困難で時間を要する.一方,胆管は胆管固有の筋肉としての平滑筋量が少なく,短時間に完全に再生させることが可能であり,TEを利用した臨床応用に最も近い臓器再生である.本稿においては,われわれの再生医療研究の中で最も臨床応用に近い胆管再生研究の進達状況と近未来の可能性について述べる.

キーワード
Tissue Engineering, 生体吸収性ポリマー, 胆管再生

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。