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日外会誌. 113(5): 424-428, 2012
特集
外科領域における再生医療の応用
3.腸管再生技術の開発
I.内容要旨
短腸症候群では,臨床的には小腸移植がわずかに行われているのみで,中心静脈栄養などの代替治療,移植による拒絶反応の強さから,一般的な治療とは言い難い.それに対し,細胞を増殖·分化して自己の組織を再生させることにより機能を失った臓器や組織を復元するという再生医療は熱望されており,腸管領域では現在のところ,粘膜上皮幹細胞を中心とした腸管陰窩の解明,長期培養といった粘膜治癒を目指したもの,組織工学的な手法を用いたものなどが行われている.当教室では,以前より多能性幹細胞を用いた腸管分化誘導に関する研究を行っており,iPS細胞から自動運動ならびに蠕動様運動能を有し,腸管に特有な三胚葉系の細胞が複雑な集合体を形成した人工腸管という臓器を分化誘導することが可能であった.今後解決すべき問題はあるものの,新たなる腸管再生医療の一つとして,患者由来の腸管モデルを用いた実験系の確立,病態機序解明だけでなく,免疫拒絶を回避した腸管再生も夢ではないと思われる.
キーワード
腸管再生, 人工多能性幹細胞(iPS細胞), 人工腸管(iGut), 臓器分化誘導, 再生医療
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