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日外会誌. 113(5): 419-423, 2012


特集

外科領域における再生医療の応用

2.脱細胞化技術を用いた新しい再生療法

慶應義塾大学 医学部一般·消化器外科

八木 洋 , 北川 雄光

I.内容要旨
重症臓器不全に対する治療は現在透析·臓器移植といった非常に限られた方法に頼らざるを得ず,新しい治療法の開発が待ち望まれている.このような中,組織工学分野における近年の著しい発展によって,再生医療の臨床応用への期待が高まってきている.これまで開発されてきた様々な技術の中で細胞環境に必須である臓器特異的ECM(Extra Cellular Matrix)と三次元微細構造を保つ脱細胞化技術が近年臓器そのものに対して適応され,血管吻合による移植可能なグラフトとしてその有用性が報告された.実際にすでに皮膚·気管·血管·関節·心臓弁などでは一部で臨床応用の報告がなされているが,消化器分野ではその構造と機能の複雑さから本技術の適応は非常に困難であった.我々は本技術を肝臓に適応し,再生着させた肝細胞機能と解剖学的に移植可能な三次元構造の有効性を提示してきた.この技術に現在発展の著しいES/iPS細胞技術を応用することで,今後臨床応用可能な新しい技術基盤として発展する可能性が期待される.

キーワード
細胞外マトリックス, stem cell, 肝細胞, 三次元構造, 組織工学

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