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日外会誌. 113(4): 373-377, 2012
特集
内分泌外科稀少疾患の日本の現状把握と診療指針の作成
6.甲状腺未分化癌長期生存例の解析
I.内容要旨
「甲状腺未分化癌コンソーシアム」に登録された症例のうち生存期間が明らかな通常型未分化癌449例を対象として,臨床病理学的因子や治療因子の中でどのような因子が1年以上の長期生存例と関連するかについて解析を行った.単変量の解析では,急性症状を認めない症例,初診時の白血球数か1万/mm
3未満の症例,腫瘍径が5.0cm未満の症例,腫瘍が甲状腺内に留まっているもの(T4a),初診時遠隔転移を認めないもの(M0),根治手術がなされたもの,40Gy以上の外照射が行われたもの,化学療法の行われたもので有意に1年以上の生存例が多くなっていた.多変量解析(ロジスティック解析)では,これらの因子のうち腫瘍径(5.0cm未満),根治手術施行例,外照射(40Gy以上)の3因子だけが有意差を維持していた.これらの3因子を保持している症例は449例中31例(7%)に過ぎないがこれらの症例うち20例(65%)が1年以上生存した.今回の解析では殆ど治療が行われなかったものでは何れのStage,Prognostic index(PI)でも1年以上生存例は非常に少なくなっていた.これに対し集学的治療を十分行ったものではStage等が進んだものなどを除き明かに1年以上の生存例が増えていた.このことは悪性度の非常に高いとされるこの癌でも積極的な治療を行う意義があることを示唆するものである.
キーワード
1年生存率, 根治手術, 放射腺外照射, 腫瘍径, 多変量解析
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