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日外会誌. 113(3): 303-307, 2012


会員のための企画

Robotic surgeryの現状と展望

心臓外科領域におけるRobotic surgeryの現状と展望

金沢大学 心肺·総合外科

石川 紀彦 , 渡邊 剛

I.内容要旨
手術支援ロボットの出現によって心臓外科領域においても内視鏡手術が可能となり,さらなる低侵襲化がなされている.da Vinci Surgical System(Intuitive Surgical社,米国)が提供する高解像度3次元映像および7自由度を有するロボット鉗子は,今までその困難さのため行えなかった胸腔内あるいは心内での縫合結紮や剥離操作を実現した.その結果,僧帽弁形成術や心房中隔欠損症閉鎖術などの心内手術や内胸動脈剥離術,冠動脈吻合を内視鏡下に行うことが可能になったのである.胸骨正中切開を伴わない内視鏡下心臓外科手術は整容性に優れるだけでなく感染や出血のリスクを軽減し,術後の早期社会復帰を可能にする.da Vinci Surgical Systemは2012年1月現在,世界では2,000台超,アジアにおいても100台以上の導入がなされている.国内では2009年11月にda Vinci S Systemが医療機器としての薬事承認を得たが心臓外科に関する術式では未だ承認が得られておらず,現在金沢大学および国立循環器病研究センターにおいて国内臨床治験が行われている.手術支援ロボットの開発とともに更なる低侵襲化が可能となった心臓外科手術であるが,今後もデバイスの開発とともに,ロボット手術の需要はより一層増加していくものと期待される.

キーワード
ロボット, da Vinci, 心臓外科, 低侵襲


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