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日外会誌. 113(2): 177-184, 2012


特集

癌研究における最近の進歩

3.微量癌細胞研究の展開

帝京大学 外科

飯沼 久恵 , 渡邉 聡明

I.内容要旨
癌の微小転移は,転移能を有する微量癌細胞により,癌進行の比較的早い時期から形成されることが知られている.近年の微量癌細胞測定法の進歩により,末梢血循環癌細胞(Circulating tumor cell:CTC),骨髄遊離癌細胞(Disseminated tumor cell:DTC),リンパ節内や腹腔内の遊離癌細胞の高感度な検出が可能になった.また,CTCと癌幹細胞との類似点が報告され,新たなバイオマーカーとして注目されている.これまで大腸癌や乳癌などを中心に,CTC·DTCの再発および予後予測因子としての有用性が報告されてきた.さらにCTCは,分子標的薬と化学療法の,治療効果モニタリングとしても,その有用性が期待されている.また,リンパ節においては,乳癌のみならず胃癌においても,Sentinel navigation surgeryに基づく,個別化縮小手術が行われている.さらに,大腸癌腹腔遊離癌細胞と腹膜再発および予後との関連性についても,再検討が始まっている.このように,微量癌細胞研究の進展は目覚しく,今後新たな転移カスケードの解明や診断および新規治療への応用に繋がることが期待される.

キーワード
微量癌細胞, CTC, DTC, 予後予測, 治療効果予測


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