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日外会誌. 113(1): 12-17, 2012


特集

進行胃癌治療の最前線

4.胃癌術後QOL改善をめざして

東京慈恵会医科大学 外科

中田 浩二 , 矢永 勝彦 , 小村 伸朗 , 川村 雅彦 , 古西 英央 , 岩崎 泰三 , 三森 教雄 , 羽生 信義 , 柏木 秀幸 , 大木 隆生

I.内容要旨
胃癌術後のQOLを改善するためには,胃術後障害の予防と発生した際の適切な対応が重要である.すなわち,(1)胃術後障害の発生を軽減しうる術式の選択とさらなる改良,(2)患者が胃切除後の身体に合わせた食·生活習慣を確立できるようにするための情報提供と支援,(3)術後の外来診療において胃癌の再発·転移の監視だけでなく患者の生活状況にも目を配り,胃術後障害を早期に検出し対応できるシステムの構築,などである.胃癌治療において根治性や生存期間だけでなく患者の「クオリティオブライフ(QOL)」も注目されるようになってきたことは,わが国の医療が成熟し全人的医療の域まで達しつつあることを表している.実際に胃癌術後のQOLに関する報告の多くは,胃癌の罹患率が高くまた医療水準の高い本邦からなされている.とはいえ,胃癌術後QOLの改善はこれからの領域であり,さらなるエビデンスがわが国の胃外科臨床医から発信されることが望まれる.

キーワード
胃術後障害, クオリティオブライフ, 胃切除後評価法, チーム医療

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