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日外会誌. 112(5): 338-342, 2011


会員のための企画

実質臓器悪性腫瘍に対する局所療法

重粒子線を用いたがん治療の現状と展望

放射線医学総合研究所 重粒子線医科学センター

山田 滋 , 鎌田 正 , 辻井 博彦

I.内容要旨
重粒子線は陽子線のシャープな線量分布と中性子線の強力な殺細胞効果を有する放射線といえる.放射線医学総合研究所(放医研)では平成6年(1994年)より重粒子線を用いて固形がんに対する治療を施行し,平成22年2月までに約5,900人の治療を実施してきた.その治療結果から重粒子線によって極めて高い局所制御率が得られてきた.重粒子線治療は特に,(1)疾患部位としては,頭頸部(眼を含む),頭蓋底,肺,肝臓,前立腺,骨·軟部組織,直腸癌の骨盤内再発に対して,(2)組織型では,光子線(X線等)が効きにくいとされる腺癌系(腺癌,腺様嚢胞癌,肝細胞癌)や肉腫系腫瘍(悪性黒色腫,骨·軟部肉腫など)に対して有効であり,さらに,(3)生物学的線量分布の利点を生かすことにより,短期小分割照射法が有効(肺·肝では1回照射)であった.今回,外科の先生が診療することが多いがんに対する重粒子線治療の臨床成果と将来展望を紹介する.

キーワード
放射線, 重粒子線, 重イオン線, 固形癌


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