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日外会誌. 112(5): 304-308, 2011


特集

直腸癌治療の最近の動向

2.早期直腸癌に対する内視鏡治療

昭和大学横浜市北部病院 消化器センター

工藤 進英 , 石田 文生 , 遠藤 俊吾 , 池原 伸直 , 宮地 英行

I.内容要旨
早期直腸癌に対する治療において,M癌とSM微小浸潤癌で脈管侵襲,低分化癌,簇出のいずれも認めない病変は内視鏡治療の適応である.一方,危険因子のいずれかが陽性であるか,SM深部浸潤癌は外科手術の適応である.側方発育型腫瘍(laterally spreading tumor以下LST)のうち顆粒均一型(LST-G(HOMO))は内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection以下EMR)あるいは内視鏡的分割粘膜切除術(endoscopic piecemeal mucosal resection以下EPMR)で治療可能であるが,LSTのうち非顆粒·偽陥凹型(LST-NG(PD))はSM浸潤の危険性が高く,詳細な病理学的診断のために一括切除が必要であり,内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection以下ESD)の適応である.内視鏡切除された病変がリンパ節転移の危険性を有する所見がみられた場合には外科手術の適応となる.以上の適応は大腸全般のそれと同様である.ただし,直腸はその解剖学的,機能的特徴から外科的手術を行うにあたっては慎重であるべきで,正確な診断のもと,より侵襲の少ない治療を選択すべきである.このことからも内視鏡治療の果たす役割は重要である.

キーワード
早期直腸癌, 内視鏡的粘膜切除術, 内視鏡的粘膜下層剥離術, 内視鏡拡大観察, pit pattern診断

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