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日外会誌. 112(4): 255-261, 2011


会員のための企画

外科医のトレーニングシステム

バーチャルリアリティシミュレータを用いた内視鏡外科手術トレーニングシステム

1) 九州大学 先端医工学診療部
2) 九州大学医学研究院 先端医療医学講座

富川 盛雅1) , 橋爪 誠2)

I.内容要旨
シミュレータとは,コンピュータ技術を駆使してつくり出したバーチャルリアリティ(virtual reality;VR,仮想現実)環境の中で,さまざまな状況をシミュレーションできる装置を指し,普段容易に体験できない状態,危機的状況や,教育にコストがかかったりするような状況をVR技術で再現することができる.われわれは,VRシミュレータがボックストレーナーに比べ,手術操作手順の理解や安全な手技習得において,より有効であることを明らかにした.また,シミュレータを用いて定量的技術評価を行うことによりメタ認知能力を高める効果的な内視鏡外科手術トレーニングを行うことができると考えられた.さらに,VRシミュレータはトレーニングの効果の判定方法としても有用であることが示唆された.以上より,九州大学病院内視鏡外科手術トレーニングセンターの訓練カリキュラムには,VRシミュレータによるトレーニングを積極的に取り入れている.VRシミュレーションシステムは遠隔指導が可能であり,先進的な内視鏡外科手術を施行しうる専門医のいない地域の医師の教育や若い医師の指導に極めて有効であり,医療の地域間格差是正に有効であることも示唆された.外科医の教育現場におけるトレーニングとしてVRシミュレータを用いた内視鏡外科手術トレーニングシステムの位置づけはますます重要になっていくものと思われる.

キーワード
VR, トレーニング, シミュレータ, 内視鏡外科手術, 遠隔指導

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