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日外会誌. 112(4): 231-234, 2011


特集

先天性心疾患合併小児外科疾患の最新の治療戦略

3.新生児外科治療成績に及ぼす心疾患の影響

1) 神奈川県立こども医療センター 心臓血管外科
2) 神奈川県立こども医療センター 新生児科
3) 神奈川県立こども医療センター 循環器内科
4) 神奈川県立こども医療センター 外科

麻生 俊英1) , 武田 裕子1) , 帯刀 英樹1) , 川滝 元良2) , 康井 制洋3) , 大濱 用克4)

I.内容要旨
当センターにおける最近6年間の比較的新しい経験をもとに,心疾患を合併した新生児外科疾患の治療の現状を検討し,最近の胎児診断の進歩によってもたらされた新生児心疾患外科治療の変化が外科治療に及ぼす影響について言及した.最近6年間に経験した新生児外科疾患のうち心疾患を合併した症例で新生児外科治療を行ったのは45例であり,そのうち26例が心臓手術を受けたがいずれも外科疾患の手術を先行させた.手術を要したすべての症例で外科手術を最初におこない手術の順番が問題となることはなかった.しかし,胎児心エコー診断の進歩によって生直後に手術を要する心疾患が新生児心臓外科治療の新たな対象となってきており外科疾患との手術のタイミングやアプローチについて考慮すべき症例が今後増えると予想される.胎児診断の進歩は,手術のタイミングや方法などについて出生前に十分検討できることが利点である.今後,他科医師や他職種との緊密な連携によるチーム医療の重要性は今以上に増すと考えられる.

キーワード
胎児診断, 心疾患, 新生児心臓手術, 超緊急手術


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