[書誌情報] [全文HTML] [全文PDF] (181KB) [会員限定]

日外会誌. 112(3): 187-190, 2011


特集

膵癌診療の現況と課題

7.膵癌に対する術後補助化学療法

1) 静岡県立静岡がんセンター 肝胆膵外科
2) 静岡県立静岡がんセンター 消化器外科

上坂 克彦1) , 金本 秀行1) , 杉浦 禎一1) , 水野 隆史1) , 絹笠 祐介2) , 坂東 悦郎2) , 寺島 雅典2)

I.内容要旨
膵癌は現在においても難治癌の代表であり,その手術成績の向上を目指して,術後補助療法の研究が行われてきた.アメリカでは,1985年に発表されたGastrointestinal Tumor Study Group(GITSG)の臨床試験以後,放射線化学療法の有用性が支持されてきた.ヨーロッパでは,2004年に発表された臨床試験European Study Group for Pancreatic Cancer-1(ESPAC-1)および2007年に発表された臨床試験Charité Onkologie(CONKO)-001の結果から,化学療法の有用性が支持されている.さらにわが国では,2009年に発表されたJapanese Study Group of Adjuvant Therapy for Pancreatic Cancer-02(JSAP-02)試験の結果から,ヨーロッパ同様,化学療法の有用性が支持されている.現在,補助化学療法の主軸はゲムシタビンであり,ゲムシタビン,フッ化ピリミジン系薬剤,分子標的薬を用いた術後補助化学療法の臨床試験が進められている.今後は,術前治療にも目をむけつつ,補助療法の臨床試験を一層展開していく必要がある.

キーワード
膵癌, 補助療法, ゲムシタビン, 5-FU, S-1


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。