[書誌情報] [全文HTML] [全文PDF] (616KB) [会員限定][検索結果へ戻る]

日外会誌. 112(3): 170-176, 2011


特集

膵癌診療の現況と課題

4.膵頭神経叢の解剖と郭清の意義

山形大学 消化器·乳腺甲状腺·一般外科学

木村 理 , 渡辺 利広

I.内容要旨
1.膵頭部後面のアーケードを形成する動脈や静脈などの重要な血管,膵頭神経叢第I部·第II部,膵後方組織,上腸間膜動脈周囲神経叢はTreitzの癒合筋膜で覆われた同じ空間に存在する構造物である.
2.下膵十二指腸動脈(IPDA)は上腸間膜動脈(SMA)左側から分岐し,第一小腸動脈(J1)を下方に向かって分岐した後,IPDAとなってSMAの後面を右側に向かって走行し,前下膵十二指腸動脈AIPDAと後下膵十二指腸動脈PIPDAに分岐する.IPDAはAIPDAとPIPDAの共通管となる動脈で約80%に存在する.
3.膵頭神経叢の解剖は癌の進展様式を知る上で重要である.
4.上腸間膜動脈背面近傍の膵頭神経叢に浸潤のみられた症例はたとえその部を取りきるR0の手術をしても術後成績は良好とはいえない.逆にその部に癌浸潤のみられなかった症例の予後はやや良好となる.

キーワード
癒合筋膜, IPDA, 膵頭神経叢

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。