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日外会誌. 112(2): 111-116, 2011


特集

食道癌の最新治療

6.術前化学放射線療法

鹿児島大学 腫瘍制御学·消化器外科学

夏越 祥次 , 松本 正隆 , 奥村 浩 , 内門 泰斗 , 瀬戸山 徹郎 , 喜多 芳昭 , 有上 貴明 , 上之園 芳一 , 大脇 哲洋 , 石神 純也

I.内容要旨
本邦では進行食道癌に対しては拡大郭清を含む手術を中心に検討されてきたが,次第に外科治療の限界も明らかになってきた.海外では術前補助療法が以前より検討されており,最近は術前化学放射線療法(CRT)が積極的に取り入れられている.術前CRT+手術群(CRT群)と手術単独群(手術群)のrandomized controlled study(RCT)の結果がいくつか報告されており,それらのmeta-analysisも行われている.CRT群により予後が改善された結果を基に,海外では術前CRTが標準的治療とみなされている.しかし,進行食道癌に対する術前CRTのmeta-analysisに関しては,少ない症例数,stageの差異,腺癌と扁平上皮癌の混同,開胸と非開胸術式の含有,放射線量の違いなど,解析結果に様々な課題がある.今後はリンパ節転移部位を含めた局所に限局した進行食道癌に対して,術前CRTは有用な治療の一つと考えられる.新規抗癌剤や分子標的薬剤に関するphase I,II研究も行われてきており,新たな治療が展開されてきている.しかし,海外の報告には術式を含め問題点もあるため,とくに扁平上皮癌に関しては良くデザインされた質の高いRCTが必要である.本邦の卓越した手術手技のもとで術前CRTの有効性の是非が検証されることが望まれる.

キーワード
進行食道癌, 術前化学放射線療法, randomized controlled study, meta-analysis, 分子標的治療

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