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日外会誌. 112(2): 89-93, 2011


特集

食道癌の最新治療

2.内視鏡的治療(EMR,ESD)

1) 東海大学大磯病院 外科
2) 東海大学 消化器外科

島田 英雄1) , 小澤 壯治2) , 千野 修2) , 西 隆之1) , 葉梨 智子2) , 山本 壮一郎2) , 名久井 実2) , 数野 暁人2) , 幕内 博康2)

I.内容要旨
今日,食道癌に対する内視鏡的治療として,最も多く行われているのは内視鏡的切除術(endoscopic resection:ER)である.
内視的切除術は,局所治療であることから,最も重要なのは適応症例の選択である.リンパ節転移の危険性が極めて少ない症例が対象とされる.壁深達度が粘膜固有層にとどまる病巣が絶対適応とされるなか,T1a-MM,T1b症例に対する適応拡大が行われている.
手技に関しては,内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection:EMR)と内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection:ESD)があげられる.EMRは,従来から行われてきた手法で病巣を含む食道粘膜を吸引または把持してスネアで絞扼切離する.ESDは,各種デバイスを用い,粘膜切開と粘膜下層の剥離操作により過不足のない一括切除を行うことができる.EMRとESDの使い分けに関しては,各症例,治療時間,術者技量,合併症の有無,医療経済面などの問題を考慮しての選択が必要である.食道は,特に臓器温存が望まれる消化管であり温存できるメリットは極めて大きい.
食道表在癌に対するERは食道温存を可能にした低侵襲治療であり,適応拡大により今後のさらなる発展が期待される.

キーワード
食道癌, 内視鏡的治療, 内視鏡的切除術, EMR, ESD

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