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日外会誌. 112(1): 39-42, 2011


会員のための企画

消化器癌に対する分子標的治療の動向

大腸癌

1) 東京医科歯科大学大学院 応用腫瘍学講座
2) 東京医科歯科大学大学院 腫瘍外科学分野

植竹 宏之1) , 石川 敏昭1) , 杉原 健一2)

I.内容要旨
大腸癌治療ガイドラインに掲載された切除不能再発大腸癌に対する化学療法のアルゴリズムにおいては,各治療ラインにおいて分子標的治療薬投与の適応があることが示されている.現在わが国において保険収載されている分子標的治療薬はベバシズマブ(Bmab),セツキシマブ(Cmab),パニツムマブ(Pmab)である.Bmabは血管内皮細胞増殖因子(VEGF)に対する抗体であり,CmabおよびPmabは上皮増殖因子受容体(EGFR)に対する抗体である.Bmabは一次治療におけるFOLFOXおよびXELOX,二次治療におけるFOLFOXとの併用で治療効果を上乗せする.重要な有害事象は消化管穿孔であり,わが国での頻度は0.9%と報告されている.CmabおよびPmabはKRAS変異型の腫瘍には抗腫瘍効果を示さない.これらの抗体は,当初二次治療以降でイリノテカンベースレジメンとの併用や単剤投与での有効性が示されたが,現在は一次治療でのCmab+FOLFIRIおよびPmab+FOLFOXの有効性も証明されている.抗体医薬品は治療効果が高いので,腫瘍随伴症状がある症例への投与や化学療法後転移巣切除術など,新しい治療戦略が注目されている.

キーワード
VEGF, EGFR, KRAS, 転移巣切除


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