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日外会誌. 112(1): 17-21, 2011
特集
大動脈瘤治療のup to date
2.人工血管置換術 c)傍腎動脈腹部大動脈瘤
I.内容要旨
腹部大動脈瘤(AAA)の中枢が腎動脈直下まで及ぶ時juxtaranal AAA,腎動脈を巻き込み,上腸間膜動脈(SMA)起始部まで及ぶ時suprarenal AAAといい,両者を総称して傍腎動脈腹部大動脈瘤(pararenal AAA:PRAAA)という.腎動脈下AAAに比べより広範な内臓授動と高位の大動脈遮断を要するため,アプローチ法,大動脈遮断部位,内臓や腎の虚血予防が重要である.アプローチ法には(1)開腹·経腹膜経路,(2)側腹部斜切開·後腹膜経路,(3)開腹·内側内臓脱転法,(4)開胸側腹部切開·後腹膜経路がある.遮断部位は画像診断で大動脈の立体構造と石灰化や粥腫を考慮して決定する.腎静脈は枝を処理して頭側に牽引するか,枝を温存して切離する.遮断部位は(1)腎動脈上,(2)腎動脈間(左右の腎動脈の高さが異なる時),(3)上腸間膜動脈(SMA)上,(4)腹腔動脈(CA)上がある.(3)はCA血流を残す利益より,神経叢のため剥離困難でSMA塞栓のリスクもあり推奨されない.遮断末梢側は虚血再灌流障害,遮断中枢側は粥腫塞栓が起こりうる.
PRAAA手術では手術侵襲の増加と内臓虚血·再灌流障害,腎機能障害,凝固障害などの問題が生じ,腎動脈下AAAより手術死亡率は高い.腎動脈下AAAは血管内治療の増加とともに開腹手術数は減少し,PRAAAなどより複雑な手術の割合は増加する.開窓型stent-graftなどが臨床応用されているが,現時点ではPRAAAに対して開腹手術がGold standardである.
キーワード
傍腎動脈腹部大動脈瘤, 腎動脈上腹部大動脈瘤, 内側内臓脱転法, 左腎静脈切離, 大動脈遮断部位
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