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日外会誌. 111(6): 358-362, 2010


特集

消化器外科における栄養管理の現状と展望

5.各種病態における術前·術後栄養管理 
a)上部消化管疾患

千葉大学 大学院医学研究院先端応用外科

松原 久裕

I.内容要旨
食道癌,胃癌を中心とした上部消化管疾患における術前·術後管理においては栄養障害を有している場合が多く,その管理は重要である.栄養状態を含めた全身状態の把握をきちんと行い,必要量を経口摂取,経管栄養,TPNを利用し十分に投与していく.TPNのみで管理するのではなく経口,経管栄養をできるだけ利用して消化管機能を保ちながら管理することにより術後合併症の軽減を図る.また,免疫増強栄養剤に関しては栄養状態不良な上部消化管疾患において待機的手術が行われる場合,一定量以上投与可能な場合その有用性が示されている.管理された使用法が重要であり,術後の利用に関して有用性はまだ確立されていない.
術後栄養管理はTPNを中心に経管栄養を補助的に使用していく.特に侵襲の大きな手術の場合は経管栄養が有用である.近年,術後の血糖値管理がトピックとなっている.現状では血糖を正常値付近で管理する集中的血糖管理の有用性は今後さらなる検討を重ねる必要がある.

キーワード
食道癌, 胃癌, 周術期管理, 栄養管理, 免疫増強栄養剤


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