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日外会誌. 111(6): 348-352, 2010


特集

消化器外科における栄養管理の現状と展望

3.外科感染対策からみた栄養管理のポイント

名古屋市立大学大学院 医学研究科消化器外科学

桑原 義之 , 竹山 廣光

I.内容要旨
栄養状態は術後合併症の発生に大きく関与し,手術予後を左右する重要な因子である.栄養不良の患者においては,術後合併症の発症率,在院日数,死亡率が増加することが知られており,周術期の栄養療法は,術後の感染性合併症を回避するための有効な手段と考えられている.
栄養療法においては,栄養状態を評価することが重要で,その栄養障害の程度に応じた適切な栄養療法を行うことが必要である.周術期の栄養療法は,経口,経腸栄養法が主体であり,TPN(完全静脈栄養)は厳密な適応下に選択される.術後の早期経腸栄養法は感染性合併症の抑制に有効である.また,免疫力の増強を目的としたImmunonutritionや腸内環境の安定を目的としたシンバイオティクスの効果についても,数多く報告されている.
実際の周術期栄養療法の施行においては,栄養療法の利点,欠点を良く理解した上で,個々の症例に応じた適切な栄養療法を選択しなければいけない.本稿では,周術期の栄養療法と合併症について,現在までの報告に基づいて概説する.

キーワード
栄養管理, 感染対策, 周術期合併症, Immunonutrition, シンバイオティクス


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