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日外会誌. 111(6): 341-347, 2010


特集

消化器外科における栄養管理の現状と展望

2.NSTの現状と展望

1) 札幌医科大学 NST委員会
2) 済生会小樽病院 外科
3) 市立室蘭総合病院 外科

平田 公一1) , 川崎 喜恵子1) , 巽 博臣1) , 水口 徹1) , 目黒 誠1) , 長谷川 格2) , 佐々木 賢一3) , 石坂 絵里1) , 藤田 鮎美1) , 信岡 隆幸1)

I.内容要旨
本邦の栄養サポートチーム(Nutritional Support Team:以下,NST)活動の普及は,1999年日本静脈経腸栄養学会(Japanese Society for Parenteral and Enteral Nutrition:以下,JSPEN)の企画·検討に始まる.2006年にその関連医療行為の一部に対して診療報酬としての加算が認められ,以来,同活動は目覚ましい展開を遂げている.NST活動においては,職種間に存在する壁部分を取り除き,栄養障害を有する患者あるいは栄養障害を生じうる高リスク患者に対し,最良の栄養学的介入を目的としている.可能な限りの良質な診療提供のために,栄養障害の治療あるいは悪化回避の予防対策を図ろうとの共通の目的をもって,多職種の専門家が努力·検討しようとするものである.栄養管理に関わる専門的集団としての診療行為を臨床栄養に関わる専門家が可能な限り患者に寄り添って,患者中心の医療を実践しようとの合意形成のもとに発展してきた.それについては,主として3分類に大別でき,外科的臨床栄養に関する領域,高齢者·要介護者医療領域,生活習慣病として包含される疾患群の内科的領域,でそれぞれにNSTが活発に適用されているのが実情である.NSTの対象となる多くの病態については,その原因としての患者母集団数の多いことを背景因子として選択されているのが現状である.
一方,DPC(Diagnosis Procedure Combination)による包括医療制度と高度医療提供施設の地域センター化が進む中で,NSTの役割については個々の患者が有する医療課題に微々細々に渡って広く貢献することに期待が持たれている.栄養管理に関する医療提供にあたって,その質の向上と充分に信頼に足る人材の育成が医療界へ問われている.さらに,日本栄養療法推進協議会から提言されているNSTの評価すなわちアウトカムのためのサーベイランス法の開発法も次代へ向けての改訂に重要と考える.

キーワード
NST, 医療費, NST専門療法士, 現況と展望

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