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日外会誌. 111(4): 235-240, 2010


特集

外科領域におけるコメディカルとの役割分担―現況と未来

7.呼吸療法認定士の立場から

秋田大学医学部附属病院 副看護師長

佐々木 郁子

I.内容要旨
周術期の的確な呼吸機能の評価と呼吸療法は,術後の肺機能の回復や肺合併症の発生予防に大きな影響を与える1) .また術前の早期の禁煙指導や,患者の特殊性を考慮した排痰法,咳嗽訓練,呼吸訓練(インスパイロメトリー)などの説明,指導が術後適切に実施されることで在院日数は有意に減少できる2) .また術後は全身麻酔や手術侵襲,鎮静剤の使用などから呼吸機能が低下し合併症をきたし易い病態のため,より専門的な治療が必要とされる.そのため,医師,看護師,理学療法士,臨床工学技士などが各職種でチームを編成し,患者の問題点に取り組み,治療方針を検討する必要がある.しかし専門的な呼吸管理をおこなう呼吸サポートチーム(respiratory support team;RST)は,各施設の必要性に応じて組織しているのが実情であり,院内における役割や立場は明確化されていないことが多い.そのなかで医療スタッフに知識と技術を習得させるための牽引役となる,呼吸療法認定士の役割は大きい.RSTが円滑に運営するためには各職種間で横断的な連携を確立し,病院全体での組織的取り組みが求められる.そしてその活動を軌道に乗せることで,今後も予測される高齢化や,慢性呼吸器疾患を持つ周術期の患者に対し,質の高い安全な医療を提供できる3) .

キーワード
呼吸療法認定士, 呼吸ケアチーム, 呼吸管理


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