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日外会誌. 111(4): 220-225, 2010


特集

外科領域におけるコメディカルとの役割分担―現況と未来

4.看護師の立場から

1) 東京医療保健大学 医療保健学部看護学科
2) 東京医療保健大学/大学院 

富田 倫子1) , 坂本 すが2)

I.内容要旨
医療の機能分化が進む中,高度先進医療を提供する急性期病院において,手術療法は,病院の実力と成果をもっとも期待される機能の一つである.通常,手術は緊急手術と予定手術に分類され,その管理方法は大きく異なる.患者が重症化,高齢化する中では,手術療法そのものがリスクを伴い救命率や患者のその後の生活の質に直結する.したがって,診断,入院治療,回復へと経過するプロセスを,円滑かつ効果的に進行させる必要がある.ここでは,医療チームでの看護師の役割分担が手術患者の管理に有効に機能していると思われる4つの取組み例を紹介する.4例は,1)緊急手術が必要な患者の早期診断に寄与するトリアージナース,2)緊急患者の受け入れを可能にするベッドコントロールシステム,3)患者の手術への理解と確実な準備を目的とした専任の説明看護師の導入,4)術前から退院後の生活管理まで手術に必要な情報を教材としてパッケージ化して提供する外来教育システム,である.これらの報告例で看護師は,それぞれの立場·地点において,多様な医療ニーズに対し,患者が回復の最適ルートに乗っているかを確認し,職種間の調整を図り,修正する役割を担っていた.現在,看護師の業務拡大について様々な議論がある.看護師が業務を拡大することによって,各々の機能を強化することができる.そのためには十分な教育と法的整備,運用体制の整備が不可欠である.手術患者の回復を支える診療科や職種間の連携の現状を,看護の立場から概観する.

キーワード
チーム医療, 看護師, 業務拡大, 多職種, 連携


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