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日外会誌. 111(4): 209-215, 2010


特集

外科領域におけるコメディカルとの役割分担―現況と未来

2.医師の立場から

1) 防衛医科大学校 心臓血管外科
2) 東京女子医科大学 心臓血管外科
3) 藤田保健衛生大学 医療科学部臨床工学科
4) 九州大学 心臓血管外科
5) 東北大学 心臓血管外科

前原 正明1) , 西田 博2) , 渡邊 孝3) , 富永 隆治4) , 田林 晄一5)

I.内容要旨
医療従事者不足(特に産科,救急,外科医,看護師不足),低医療費政策(市場原理主義,財政至上主義),医療訴訟問題,医療従事者の労働環境不良,外科医志望者減少等による外科医療の崩壊が憂慮されている.
この解決策の一つとして,米国の医療分業化における,医師と看護師の中間レベル職種,非医師高度診療師であるNP,PA(NP:Nurse Practitioner,PA:Physician Assistant;非医師高度臨床師)導入策がある.米国のNP/PA制度は45年の歴史があり,術後合併症の減少,患者の満足度上昇,手術後入院期間の短縮,医療経済上有益等が生じ,国民が強く望む安全と安心の医療を提供してきた.
日本の外科医療崩壊を食い止める最良の手段は,高い専門性とモチベーションのある非医師高度診療師,特に周術期管理に携わる新職種の日本版NP/PAの養成にあると思われた.我々は「周術期管理診療看護師」(日本版NP/PA)の養成を政府と「チーム医療推進検討会」に要望してきた.2010年2月 厚労省「チーム医療推進検討会」は「特定看護師」(優れた判断力や技術を有する臨床実践能力の高い看護師)の設置,法制化に向けての素案を発表した.このことは我々外科医が提唱してきた新しい日本版チーム医療の推進確立に呼応するものと考える.この「特定看護師」制度が日本版NP/PA制度導入に向けての橋渡し制度となるべく,全ての医療従事者·関係者が一枚岩となって協働することを切にお願いしたい.

キーワード
nurse practitioner, physician assistant, チーム医療, 周術期管理, スキルミックス, 医療再生


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