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日外会誌. 111(3): 201-205, 2010
総説
地方では心臓血管外科医師は減少している―長野県内の心臓血管外科医師と心臓血管外科症例数の推移―
I.内容要旨
長野県内において1996年から2008年までの信州大学関連心臓血管外科施設における医師数,外科入局者数,心臓血管外科固定者数,施設数,および手術症例数を調べた.1996年の医師数は17名でその後28名まで徐々に増加.その後は2007年の19名まで漸減した.2002年から2008年には1996年から2001年までと比べて有意に新規固定者数が減少し,退職者数が増加していた.手術症例数は1996年の340例/年から増加し,2008年には771例/年であった.外科全体の入局者は,1996年から2003年まで1―9名/年であったが,卒後研修制度が変わった2004年以降では2006年に1名,2008年に2名入局したのみであった.心臓血管外科医を長く続けられる労働環境の整備と,若い医師にとって魅力ある診療科創造の必要を痛感した.また,外科入局者も激減しており外科全体としての変革が急務である.
2004年の新医師臨床研修制度以降,医師不足が大きく取り上げられるようになり,小児科·産科では,マスコミ等で大きく報道されているようにフレックスタイム,時間帯交代主治医制,ワークシェアリング等の導入,また,病院には地方交付税の増額といった様々な具体的な対策がとられるようになってきている1)
.しかし2009年現在,心臓血管外科においては,医師数の減少そのものですら大きく議論されることがないのが現状である.そこで我々は,地方における心臓血管外科医師の将来像の把握のため,医師不足が顕著な長野県内において医師数と心臓,大血管外科手術症例数の推移について検討したので報告する.
キーワード
医師数, 医師不足, 外科医, 心臓血管外科医, 施設集約化
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