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日外会誌. 110(4): 195-198, 2009
特集
小児外科疾患術後患者の長期予後―成人期における諸問題―
5.胆道閉鎖症
I.内容要旨
胆道閉鎖症(以下本症)術後成人期を迎える症例が急速に増加し,新たな問題点も浮かびあがってきている.胆管炎は成人期にもなお患者に深刻な影響を与えている.背景に両葉にわたる肝内胆管病変が存在すると,胆管炎は反復性難治性となり,肝移植が必要となることが多い.門脈圧亢進症も重要な晩期続発症であるが,食道静脈瘤は破裂する前の内視鏡的治療が,脾機能亢進症に対しては部分的脾動脈塞栓術が,それぞれ有効である.また,肝肺症候群や門脈肺高血圧症などの二次性肺血行異常がときにみられ,いずれも進行性の病態であるため,早期の肝移植が考慮される.とくに肺高血圧症は予後不良で警戒を要する.本症術後症例の妊娠·出産が本症の肝病態へ悪影響をきたすことが知られている.産前産後を通じた経過観察と支援体制の強化が必要である.わが国の肝移植は生体移植に依存しており,とくに成人患者では,ドナー候補となる両親の高齢化や健康状態,グラフトサイズなどが問題となることがあり,脳死移植の早期定着のための法整備が急務である.成人期を迎えた例では,身体的,精神心理的,あるいは社会的な種々の問題を抱えている場合が少なくなく,医療者と行政や福祉の担当者が連携する包括的なサポート体制の構築が必要である.
キーワード
胆道閉鎖症, 長期予後
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