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日外会誌. 110(2): 86-89, 2009


特集

Sentinel Node Navigation Surgeryの進歩

7.トレーサーについて

慶應義塾大学 医学部・放射線治療核医学科

中原 理紀

I.内容要旨
センチネルリンパ節の同定は,色素法とラジオアイソトープ(RI)法が主流である.双方とも様々なトレーサーがあり,病変の種類・局在などによってトレーサーを変えて用いることも可能であるが,その際には各トレーサーの特徴を理解しておく必要がある.色素については,以前はイソサルファンブルーやサルファンブルーなどが主に用いられていたが,副作用を考慮して現在はインドシアニングリーン(ICG)やインジゴカルミンの使用が増えつつある.乳癌や悪性黒色腫,胃癌などでは,色素を腫瘍周囲に投与して5-20分後に染色されたセンチネルリンパ節(blue node)を同定可能だが,blue nodeの同定に長時間費やすと非センチネルリンパ節までblue nodeと判定されてしまう可能性がある.
RI法については,本邦ではテクネチウム-99m標識スズコロイドあるいは同標識フチン酸を用いている施設が大半である.術中にはガンマプローブを用いて放射活性の有するリンパ節を検索するが,手術前日に投与を行っておくとshine-through現象による影響が軽減される.また,RI法では術前にガンマカメラを用いてリンパ節シンチグラフィを撮像することが可能であり,シンチグラフィは術中センチネルリンパ節検索におけるガイド的な役割がある.色素法とRI法を併用することにより高いセンチネルリンパ節同定率が得られる.

キーワード
色素, ラジオアイソトープ, 粒子径, 副作用


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