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日外会誌. 110(2): 73-77, 2009


特集

Sentinel Node Navigation Surgeryの進歩

4大腸癌―大腸癌におけるセンチネルリンパ節診断の現状―

東邦大学医療センター大森病院 消化器センター外科

船橋 公彦

I.内容要旨
リンパ節転移は重要な大腸癌の予後規定因子であり,正確な病期の決定にはリンパ節診断が重要と考えられる.大腸癌に対するセンチネルリンパ節(SLN)診断の目的は,補助療法による予後向上が期待できる患者の層別化と,個々の腫瘍のリンパ流を同定して腫瘍に対するリンパ節の至適郭清範囲の決定にある.文献的にはトレーサーや手技,腫瘍の局在,大きさ,T因子,リンパ節転移様式などの腫瘍に関連する因子,術前化学放射線療法,BMIがSLN診断を左右する重要な因子として報告されている.最近の多施設共同研究ではN0結腸癌の10~38%にultrastagingが可能となり,微小転移と予後の関連性については,Bilchikらの中間成績でN0結腸癌の再発例すべてがreverse transcriptase-polymerase chain reaction(RT-PCR)によってSLN転移陽性と診断され,再発に対するSLN診断の有用性が示されている.しかし,肛門癌を含めて大腸癌に対するSLNをtargetにしたultrastagingの臨床学的意義を明らかにするためには,前向きの多施設共同研究で更なる検討が必要である.

キーワード
大腸癌, sentinel lymph node(SLN), 微小転移(micrometastasis), SLN-based nodal ultrastaging

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