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日外会誌. 110(1): 28-31, 2009


外科学会会員のための企画

医療倫理とその実践

日常臨床における医療倫理の実践

1) 新潟大学 医学部保健学科
2) 新潟大学大学院医歯学総合研究科 法医学分野

宮坂 道夫1) , 坂井 さゆり1) , 山内 春夫2)

I.内容要旨
医療倫理は,日常臨床を含めた医療全般で生じる倫理的問題のすべてを検討対象とするが,わが国では,臓器移植のような特別な問題のみが論じられることが多く,日常臨床の中で生じる倫理的問題を検討するための方法や組織が未整備であった.本論では,医師らが取り組みやすい方法論について論じる.日常臨床の中で生じる倫理的問題を検討するためには,個々の医療スタッフを支援し助言を与えるような組織的な取り組みが不可欠である.そこで,一般的な病院で実行可能な「倫理検討会」を想定し,そこで症例の倫理的問題を検討する方法について説明する.こうした検討会は,既存の倫理委員会のように病院としての「公式の意思決定」を行う場ではなく,(1)最終的な決定は医療チームが行う,(2)倫理検討会は医療チームに助言を行う,という位置づけのもとで運用し,①幅広い情報の収集整理,②個別対応の検討,の二つの作業を行うべきである.

キーワード
医療倫理, 臨床倫理, 日常臨床, 方法論

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