[書誌情報] [全文HTML] [全文PDF] (411KB) [会員限定][検索結果へ戻る]

日外会誌. 110(1): 21-26, 2009


特集

感染性心臓·大動脈疾患の治療

6·大動脈術後縦隔炎に対する持続陰圧吸引療法

東北大学大学院 医学系研究科心臓血管外科

齋木 佳克 , 田林 晄一

I.内容要旨
術後縦隔炎の頻度は高くはないが,一旦発症すると重篤である.その治療法として外科的デブリドマン,ドレナージ,持続または間歇的洗浄,感染した人工材料の再置換,そして補助療法として大網充填や筋皮弁移植が従来から行われるが,一旦感染例に遭遇したら躊躇なく集学的治療を傾注することが肝要である.しかし,治療の長期化や再置換手術は,高リスク患者群において大きな侵襲となる.持続陰圧吸引療法:vacuum-assisted wound closure systemは比較的低侵襲な治療法として難治性縦隔炎に対して近年応用されている.通常の吸引ドレナージよりは強力な陰圧を適用するが,安全性は高く組織や吻合部を破壊することなく,肉芽形成と血管新生の促進,細菌が産生するスライムや分解産物を効率よく除去することで,縦隔炎の治癒率を高め,かつ,治療期間を短縮できる可能性がある.

キーワード
縦隔炎, 持続陰圧吸引療法, VAC療法, 人工血管感染

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。