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日外会誌. 109(6): 333-337, 2008


特集

日本と世界の各種外科疾患における診断·治療戦略の相違

4.切除可能進行食道癌

慶應義塾大学 外科

北川 雄光

I.内容要旨
切除可能中期進行食道癌の臨床特性は本邦と欧米において大きく異なる.本邦では胸部中部食道扁平上皮癌が多く,欧米では胸部下部食道,食道胃接合部の腺癌が多い.ランダム化比較試験による検証はされていないものの本邦では開胸による徹底した縦隔リンパ節郭清が長期成績の改善に寄与してきた.現在では,術前化学療法ののち局所制御効果の高い根治手術を行う戦略が標準となり,今後さらに術前治療の改良が進められるものと期待される.一方欧米では,比較的安全な経裂孔的非開胸食道切除術が現在でも施行され,外科手術単独での局所制御効果の限界を術前化学放射線療法など集学的治療によって補う戦略がとられてきた.近年,本邦においても欧米においても食道温存療法としての根治的化学放射線療法への期待が高まり,国際標準の放射線照射を基軸とした臨床試験が双方で展開されている.術前化学放射線療法後の追加手術や,根治的化学放射線療法後のSalvage surgeryの意義と安全性の検証,標準化については,今後の課題であるがこの部分についても本邦がより積極的な姿勢で臨んでいる.

キーワード
食道癌, 集学的治療, 化学放射線療法

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