[書誌情報] [全文HTML] [全文PDF] (1239KB) [会員限定]

日外会誌. 109(2): 101-104, 2008


外科学会会員のための企画

がん対策基本法をめぐって

院内がん登録の現況と今後の展望

国立がんセンターがん対策情報センター がん情報·統計部院内がん登録室

西本 寛

I.内容要旨
2007年4月に施行された「がん対策基本法」に基いて,今後10年のがん対策の青写真といえる「がん対策推進基本計画」が6月に閣議決定された.この中で,院内がん登録については,(1)がん登録実務者の育成,(2)がん対策情報センターからの技術的支援,(3)がん診療連携拠点病院などからの情報収集(全国集計),(4)連携拠点病院以外の医療機関への院内がん登録の普及,(5)実施体制の標準化,(6)予後調査の支援,(7)小児がん登録や臓器がん登録との連携,などが必要な施策とされ,医師の負担を軽減しつつ,精度の高い情報集積,さらにはその情報を元にしたがん対策へとつなげていくことが求められている.がん診療連携拠点病院はもちろん,今後はそれ以外のがん診療を行う医療機関でも,標準化された院内がん登録の実施が望ましく,そのために標準化作業の推進,地域がん登録や臓器がん登録との連携体制の確立をめざして,関連諸機関と協調した取り組みにがん対策情報センターが主導的に関わっていくことになる.特に医療機関での診療情報管理の一環としての院内がん登録の体制整備は医療機関としてのがん医療実態の把握を行う上で重要であり,診療科データベースや病院情報システムとも情報共有しつつ,がん診療関連情報の結節点として院内がん登録を活用し,地域がん登録,さらには臓器がん登録の精度向上を実現することが望まれている.

キーワード
がん登録, がん対策, 情報管理


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。