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日外会誌. 109(1): 45-49, 2008


外科学会会員のための企画

がん対策基本法をめぐって

がん医療水準均てん化をめざした取り組み

1) 国立がんセンター·がん予防検診研究センター 
2) 国立がんセンター·がん対策情報センター 

東 尚弘1) , 祖父江 友孝2)

I.内容要旨
2007年6月に成立した「がん対策基本法」の中でも「がん医療の均てん化の促進」が取り上げられているが,取り組みを始める前の状態,及びその後の状態を評価する方法が存在しない.均てん化の達成度を確認することはすなわち診療の質の評価であり,従来「構造」·「過程」·「結果」の3視点が存在すると言われてきた.それぞれ長所短所はあるものの,過程の評価はもっとも直接診療を評価する方法といえる.我々は診療過程の評価のためのシステム作りとしてまず,5大がん(乳腺·胃·大腸·肝臓·肺)および緩和ケアについて,診療過程評価指標の作成を目標とする研究を行っている.診療の質の評価が不適切に行われると,きちんと医療を行っている医療提供者の改善や質確保の意欲をそぐことになりかねないため,指標の選定には可能な限りの客観性と公正さが求められる.また,作成された指標は診療録を元に評価を行う予定であるが,その結果の扱い,とくに公表については慎重な姿勢が必要である.しかし,このような診療検証活動は医療者の自律·責任として推進していく必要がある.

キーワード
がん医療の均てん化, 診療の質, 過程評価

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