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日外会誌. 108(6): 325-328, 2007


特集

新生児外科治療の現況と展望

4.先天性横隔膜ヘルニア(ECMOの適応·限界およびNOの導入)

大阪府立母子保健総合医療センター小 児外科

奥山 宏臣

I.内容要旨
先天性横隔膜ヘルニア(Congenital Diaphragmatic Hernia:CDH)の重症度は,併存する肺低形成の程度に依存し,生直後より呼吸循環不全を呈する最重症例の救命は今なお困難である.しかし近年,種々の治療法の導入により治療成績は改善してきた.肺低形成による呼吸不全に対しては,肺の圧損傷を最小限に抑える高頻度換気(High Frequency Ventilation:HFV)やGentle Ventilationといった呼吸管理法の有用性が報告されている.また肺高血圧に対しては一酸化窒素やPGE1といった肺血管拡張剤が積極的に使用されている.一方,従来最も強力な治療法とされていた人工肺による呼吸補助(Extracorporeal membrane oxygenation:ECMO)の適応は極めて限られたものとなってきた.現在我々は,出生直後からの集中治療にも拘らず有効な酸素化が得られない出生前診断例は,救命不可能な肺低形成例と考え,ECMOの適応外としている.近年このような重症例に対しては,胎児の気管を一時的に閉塞して胎児肺の成長を促す胎児治療が試みられている.なかでもシングルポート法による胎児鏡下バルーン気管閉塞術は,胎児ならびに母体に対する低侵襲な胎児治療として,その有用性が期待されている.

キーワード
congenital diaphragmatic hernia, extracorporeal membrane oxygenation, nitric oxide, high-frequency ventilation, fetal treatment

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