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日外会誌. 108(5): 259-262, 2007
特集
癌診療ガイドラインが臨床現場に与えた影響
6.大腸癌
I.内容要旨
大腸癌治療ガイドラインは,大腸癌の標準的な治療方針を示している.このガイドラインは公開以来1年余りで,大腸癌診療に携わる医師の約90%が日常診療の指針に用いられるほど普及した.詳細な早期癌に対する記載は実用的である反面,多くの不要な外科治療を画一化する面ももつ.腸管切除やリンパ節郭清の範囲も詳細に規定されているが,その科学的根拠も明らかにする必要がある.日進月歩の化学療法は,現時点の標準治療については具体的な記載が必要であり,臨床試験への参加も推奨すべきである.標準的なサーベイランスはないものの,現場ではガイドラインの指針は重宝である.しかし,対費用効果,QOL,被爆などを勘案した合理的なサーベイランスを今後も模索する必要がある.ガイドラインは治療メニューであって,個別的な診療行為を規定するのではなく,いつもメニューどおりでは新しい治療は生み出せない.
キーワード
大腸癌, 外科, 化学療法, 放射線療法, 内視鏡
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