[書誌情報] [全文HTML] [全文PDF] (746KB) [会員限定][検索結果へ戻る]

日外会誌. 108(5): 253-258, 2007


特集

癌診療ガイドラインが臨床現場に与えた影響

5.胃癌

鹿児島大学 腫瘍制御学消化器外科

石神 純也 , 夏越 祥次 , 愛甲 孝

I.内容要旨
胃癌治療ガイドラインは他臓器の癌治療ガイドラインに先駆けて2002年に発刊され,2004年に改訂された.今回,日本胃癌学会評議員を対象に胃癌治療ガイドラインに関するアンケート調査を施行した.この結果をもとに現行の胃癌治療ガイドラインの現状について解析した.また,他臓器の癌治療ガイドラインの異同について検討し,今後の改善点について考察した.現行の胃癌治療ガイドラインは医療現場で十分に活用されており,ガイドラインの内容に従った診療をするという回答が多くを占めていた.全国で標準的な胃癌治療を行うことができる,患者さんとは患者用ガイドラインにより共通言語を構築する,という当初の目的は十分に果たしてきたと考えられた.一方,現在,日常診療として普及しているものが臨床研究として記載されていたり,新しいエビデンスが次々と発信される中,化学療法を含めたエビデンスの内容が刷新されていないという問題点もみられる.改訂時期の問題やインターネットによる公表方法など改良の余地がある.さらに,他臓器癌のガイドラインで示されているようなエビデンスレベルの明確な提示や治療の推奨度など客観的な指標の記載も重要と考えられる.他臓器の癌治療ガイドラインと比較して国内外におけるエビデンスの少ない胃癌では本邦からのエビデンスの発信は責務である.最新情報を簡潔に網羅した理解しやすい治療ガイドラインの構築が望まれる.

キーワード
胃癌治療ガイドライン, アンケート

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。