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日外会誌. 108(5): 246-252, 2007


特集

癌診療ガイドラインが臨床現場に与えた影響

4.食道癌

久留米大学 医学部外科

藤田 博正 , 津福 達二 , 田中 寿明 , 田中 優一 , 的野 吾 , 白水 和雄

I.内容要旨
食道癌診療の中核をなす日本食道学会の評議員を対象とするアンケート調査をもとに,食道癌の診療ガイドラインが臨床現場に与えた影響について分析した.大多数はガイドラインに従って診療を行っている.ガイドラインは診療を束縛するものでなく,法的拘束力はないと考えているが,ガイドラインと異なる治療を行うときは心理的圧迫を感じている.ガイドラインを患者に見せて説明している医師は半数である.患者に見せない理由として,現在のガイドラインが患者向けでないため内容が難解で,説明に時間を要すること,controversialな記載が多く,見せることによって患者を余計混乱させてしまうことを挙げている.食道癌の診療は経験的なコンセンサスに基づくものが多く,科学的エビデンスに基づくものは少ない.そのことがガイドラインの内容の曖昧さに反映されている.日本食道学会はエビデンスの積み上げに努力する必要がある.

キーワード
診療ガイドライン, 食道癌, アンケート調査, インフォームド·コンセント, エビデンス

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