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日外会誌. 108(4): 171-175, 2007


特集

重症虚血肢に対する最新の診断と治療

2.疫学TASC IIより

東京医科大学 外科学第二講座(血管外科)

重松 宏

I.内容要旨
重症虚血肢の発症率や罹患率について信頼できる前向き大規模調査研究は無いが,年間発症率は100万人あたり500∼1,000人程度と考えられ,我が国では100万人あたり100∼200人程度ではないかと推察される.発症の危険因子としては,糖尿病がもっとも重要で,喫煙や加齢,脂質代謝異常,足関節部血圧の低下などがあげられる.治療を行わない例での肢の予後は不良で,半年以内に40%は肢切断になり,20%は死亡するとされている.虚血性心疾患や脳血管障害,腎機能障害などの多臓器におけるアテローム血栓症を併存している例が多く,その生命予後は不良で,1年以内の死亡率は約20%となっている.下肢切断術の周術期死亡率も高く肢や生命予後も不良であるが,大腿切断では生命予後や運動機能の回復が特に不良であるため,積極的な血行再建を行って,下腿切断にとどめる努力が必要である.

キーワード
閉塞性動脈硬化症, 重症虚血肢, 疫学, 危険因子, 予後

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