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日外会誌. 108(3): 138-142, 2007
外科学会会員のための企画
Bacterial translocation
Bacterial translocationの病態
I.内容要旨
高度外科侵襲時には原因不明の炎症反応·重症感染症·多臓器不全(MOF)が時に発症する.その原因として腸管内の細菌·毒素が腸管バリアを越えて体内に侵入する現象,bacterial translocation(BT)が注目されてきた.腸管の血流低下や炎症性変化,腸内細菌叢の乱れ,経腸的な栄養投与欠如は,腸管の物理的あるいは免疫学的バリアを傷害しBTを惹起する.門脈血中に細菌が検出されずとも,免疫細胞が豊富な腸管壁に到達した細菌や毒素は炎症性メディエーターの産生を高め,それによって全身性の炎症反応を引き起こす可能性がある.BTの臨床的な意義には賛否両論があり,個々のケースによっては,生理的な現象にすぎない,敗血症や臓器不全の付帯現象にすぎない,あるいは敗血症の結果生じてくる現象であるかもしれない.しかし,腸管を中心とした侵襲時の生体反応のカギを握る現象であることは確かであり,BTの増悪を防ぐ治療法の確立は合併症予防のために必要不可欠である.
キーワード
SIRS, MOF, 腸管虚血, 腸管バリア
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